情報があふれ、慌ただしく変化する社会。こういう時代であればあるほど、心を落ち着ける「マインドフルネス」が必要です。1日に数回、深呼吸するだけでも生活の質が変わります。例えば、職場で会話するときでも、心が整っていれば相手の話をしっかり聴けます。ものごとを判断する際にも心が落ち着いていれば、冷静な判断ができます。
京セラの秘書室にいた頃、そのことを私は京セラ創業者の稲盛和夫会長より学ばせていただきました。当時は週に2~3回、稲盛会長と打合せをしていたのですが、打合せに入る前に恒例の沈黙の時がありました。稲盛会長が打合せに入る前、時間にして数分ぐらいでしょうか(私は緊張して待っていたので、大変長く感じましたが)、黙って目をつぶり、頭の中を整理する沈黙の時間を持たれていたのです。当時の打合せでは京セラやKDDI、日本航空の案件だけでなく、社会貢献活動や出版など様々な課題が山積みでしたので、できるだけ心をリフレッシュしてから、意識を集中して打合せに臨んでおられました。
このような真剣な判断や集中した行動が、会社の経営を動かしていきます。「今この時に集中する」マインドフルネスにより、経営の質は自ずから向上していきます。さらに、マインドフルには、「意識する、気を配る」という意味があります。「マインドフル経営」では、お客様や従業員などのステークホルダーに常に気を配り、大切にすることが重要です。
要は多忙な日々の中で心を落ち着け、安らぐ一瞬を持つことです。従業員のウェルビーイングにもつながりますので、毎日の生活の中に深呼吸など一息入れる瞬間を取り入れてみてはいかがでしょうか?